危険な異物誤飲 -タマネギ中毒-

こんにちは。
寒い日が続いていますね。

さて、前回からの続きです。

危険な異物誤飲リストから身近なものをピックアップ!

今回は、

タマネギ中毒について

です。

犬や猫はタマネギ食べちゃダメ!ということはご存知の方が多いと思います。

「タマネギ」中毒とは言っても、にんにく、ネギ、ニラなどのAllium科に属する植物を摂取すれば同じ中毒を起こします。

原因は?

ネギ類に含まれる、n-プロピルジスルフィドという化学物質により、血液の主成分である赤血球の膜が酸化されて壊れてしまうことが原因です。
特に犬と猫で中毒を起こしやすいので注意が必要です。猫は犬より少量で中毒を起こすことが知られていますが、猫のタマネギ中毒に出会ったことは私自身は一度もありません。

どれくらい食べたら中毒を起こすの?

気になるところですね。
およそ体重の0.5%以上ほど、つまり体重1kgあたり5g以上を摂取すると危険ということになります。
厄介なことに、加熱しても、細かく切っても、煮込んでも、と調理済みでもその毒性は変わりません。
またネギ類と一緒に煮込んだスープでも中毒を起こすおそれがあります。
経験的には、中毒の起こしやすさには個体差が大きいのではと感じています。

症状は?

最も問題になるのは、赤血球が壊れるので貧血が進むことです。重症であれば輸血が必要になるほどです。場合によっては死亡する危険もあります。

ネギ類の摂取から、早ければ数時間後から、

  • 元気がなくなる
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 震え

などの症状が出始めます。

その後、血液もしくはコーヒー色の尿をするようになったら一大事です。これは赤血球が壊れて中の色素が血液中に放出されて、尿に溢れ出してきていることを示します。
血液検査で貧血の進行の度合いを時間を追ってチェックする必要があります。

経験的には摂取から3日間を過ぎても何もなければ大事に至ることはないようです。

対処・治療法

特効薬はありません。
食べてから2時間以内なら動物病院で吐かせる処置を受けましょう。

時間が経ってしまっていたら、、、
いっぱい食べていそうなら動物病院を受診しましょう。点滴や吸着剤などが多少の効果を発揮するかもしれません。
ごく少量であれば、症状がでないか注意深く観察しながら何も起きないことを祈ります。

症状が出ていたら
緊急事態です。動物病院を受診し、血液検査や適切な治療が必要です。状況によっては入院が必要でしょう。
貧血が進行するようなら輸血を検討します。摂取から5日間以上貧血が進行し続けることもあります。

症状が快方に向かえばひとまず安心です。

まとめ

タマネギ中毒は非常に身近なものが原因で起きる中毒の一つです。
タマネギくわえてムシャムシャ食べました!ってワンちゃんは、少なくとも私は見たことがありません。
ほとんどが、調理済みのネギ料理を盗み食いした、だとか、ゴミ箱をあさった、とかで起きます。
なかには、「昔の犬は大丈夫だった!」と胸を張ってネギ料理を食べさせてしまう例もあります。
え〜、昔も今も犬は犬です。昔の方が日本犬が多く、相対的に体が大きくて大丈夫だっただけでしょう。

まとめの一言、

タマネギ食ったらなるべく早く動物病院で吐かせる!

 

See you next…


チャレンジすることの大切さ。

サブCBC

血液検査をしてこんな数値が出たら何を考えるか。。。

これは当院で実施した生きている猫さんの血球検査の結果です。医療に関わる方であれば驚異的な数値であることが分かるかと思います。
ヘマトクリット値が4%、血小板は限りなく0に近い数値です。紫斑も出現していました。
生きていることが不思議なくらいの貧血であり、採血した血液は半透明な赤色でした。

当院への来院当日まで他院で通院治療をしており、なおかつ致死的な感染症を患っていることが明らかになっていました。さらに来院時は横倒しでほぼ意識のない状態でしたので、見込みとしてはもはや手遅れで助からない状況であろうと思われました。

見込みがかなり厳しい旨をお伝えし、治療するとなると相当額のお金もかかることを飼い主さんにお伝えしたところ、「治療する!」とのお言葉・・・
実のところこの状況で治療を希望される飼い主さんは少ないこともあり、その言葉に驚きつつ、やるからには全部やってやろう!と気合いを入れ直し、入院治療を開始しました。

急速大量輸血、インターフェロン、低分子ヘパリン、タミフル、抗生剤、チューブフィーディングなどなど、集中治療の結果、

見事生還!

サブ1サブ2

いや、治療しておいてなんですが、ビックリです!

気合いや熱意で動物を治すことはできません。
あくまでも冷静で客観的なデータ収集・分析、確かな知識と状況判断から、診断治療をすることで動物を治します。

でも、獣医に気合いや熱意がないと飼い主さんは治療に踏み切ることができないですし、結果的に動物を助けることもできません。
チャレンジしないと助かるかもしれない命は救えません。

「チャレンジして失敗することを恐れるよりも、何もしないことを恐れろ。」
ホンダの創始者、本田宗一郎の言葉です。

何も考えずにチャレンジしちゃう獣医さんも考えものでしょうが、頭でっかちでチャレンジしない獣医さんもいまいちですね。

飼い主さんにお電話したところ、退院後もすごく元気に過ごしているそうです。

治療させて頂きありがとうございました。この経験を活かして他の子にもより良い獣医療を提供していきます。