乳酸菌

獣医師という職業柄、ひいては自分の信条から、根拠のない情報を全く信じない性分。

特に「これを使ったらこんなに良くなりました!」というようなアイテムを見せられると虫酸(ムシズ)が走ってしまいます。

でもそこは、「♪ズーン・ズーン、ズーン・ズーン、チャーチャーッチャチャチャ・チャーチャーッチャチャチャ♪」なんて音楽に乗りながら、2ヶ月後に腹筋バキバキになっている映像を見せられたら、「ちょっとやってみたいな〜」と思うのが人情というものです。
あっ、別に『○イザップ』をやってみたわけではありません。(あれはトレーニングによる肉体改造ということらしいですが)

先日、ふと病院にやってきた某製薬会社の営業の方。犬の乳酸菌製剤のPRに来院されました。

どうせ乳酸菌製剤なんて診断ができない人間が使うもの」、、、
「なるほど、興味深い。して、私は裏付けに乏しい治療はしないのですが、どうなんでしょう?」と尋ねたところ、

「先生はアレルギーはありませんか?」とのこと。

なんと、乳酸菌を飲み続けるとアレルギーが軽減される(かもしれない)らしい! なんてタイムリーな! スギ花粉症さようなら!

ということで、なぜか犬の乳酸菌製剤の営業に来た方から、ヒト用乳酸菌製剤のサンプルをゲットし、1ヶ月間試してみることに。
(ちなみにサンプルは少しだけだったので、残りはもちろん自費で購入です!)

きっと1ヶ月後にはスリムなボディー!ではなく、花粉症よサヨウナラ!になっているはずです。
自らの体を使って治験をしてみます。効いたらアレルギーや難治性腸疾患の動物への使用も考えようかなと。
結果が気になる方は病院で確認を。。。

〈補足〉
乳酸菌とは、糖分を利用して増殖し、その過程で「乳酸」を作る細菌の総称です。
チーズも味噌も醤油もキムチも乳酸菌を利用した食品です。
ブルガリア地方などのヨーグルトを多く摂っている人々に長寿な人が多いことに注目し、研究が始まったことがきっかけです。
・免疫を高める ・抗腫瘍効果 ・抗アレルギー効果 ・整腸効果 などなど
いいことずくめの効果が期待される・・・・・・・らしいのですが、、、

そんな風に期待されている食品や成分は世の中にいっぱいあります。
実際に『治療』として効果を発揮してくれるのかどうかは、まだまだ明らかではないことが多いです。
ただ、玉石混合で、その中でも乳酸菌の持つ効能が期待されているのは間違いないでしょう。

あくまで病気の治療は、「原因」を見つけ、治すことです。原因を見逃したままいくら健康にいいであろうものを摂取しても効果は期待できません。
トゲが刺さっていることに気づかずに痛み止めを飲み続けるよりも、トゲを見つけて抜く方がはるかに効果的なのです。

ということで、当院の患者さんは分かると思いますが、当院でサプリメントのようなものが処方されることはほとんどありません。

原因を明らかにして、その原因を治療するので、多くの場合でそのようなものを使用する必要がないのです。

しかし、アレルギー、免疫性疾患、難治性腫瘍など、原因を除去することが難しい病気ではその有用性や期待は高まるでしょう。
また予防医療(健康維持)の一環として、病気の発症を抑制するような食品・栄養が求められているのも事実でしょう。

どんなものを使うにしても、病気に使用する場合はキチンと診断した上で。
また、予防医療に使う場合は聞こえのいいうたい文句に惑わされないように注意しましょう。そういった意味では乳酸菌は安心・手軽に使用できるアイテムでしょうね。


手術ラッシュ

こんにちは。
2月ですね。2月といえば「二八(にっぱち)」の2月です。
多くの業種で一年のうちでも景気が悪い月として、2月と8月が挙げられます。
当院でもご多分に漏れず、開院1年目・2年目と、さむ〜い2月を過ごしてきました。

が、今年は1月下旬から手術ラッシュで、2月に入ってからは大きな手術続きです。

「他でやらないような難しい手術もやってるぜ!」

とアピールしておかないと、病院を大きくできないので遠回しな宣伝みたいになりますがブログにアップしていきます(笑)

今月行った大きい手術としては、胃捻転の整復(胃腹壁固定術)と、ポリプロピレンメッシュを用いた両側会陰(えいん)ヘルニア整復です。

胃捻転というのは中高齢の大型犬で時々見られる文字通り胃がねじれてしまう状態で、通常そのまま急速に死に至る病気で、緊急の手術が必要になる病気です。大型犬で吐こうとしても吐けなくてぐったりしてきた場合、間違っても様子を見ようなんて思ってはいけません。(小型犬でも稀に発生します)
もし一旦捻転が解除されたとしても、90%以上の確率で再発しますので、再びねじれないように胃の固定手術を実施することが望まれます。
胃捻転は夜間に発生が多い病気なので、夜間緊急をしていた経験から多くの執刀経験がありますので困った時はご相談ください。
ただし、胃捻転は手術をしても死亡するリスクが高い病気です。基本、待てば待つほどそのリスクは高まりますので一刻も早い対処が必要と覚えておいてください。

会陰(えいん)ヘルニアは去勢手術をしていないオス犬に多く発生する病気です。去勢手術が勧められる理由の一つにこの病気の予防が挙げられます。肛門を支えている筋肉が痩せてスペース(穴)ができてしまい、肛門のワキの皮膚の下に腸や膀胱が飛び出してくる病気です。
あまり進行すると通常の手術の方法ではその穴を塞ぐことができないため、今回はインプラントとしてポリプロピレンメッシュを使って穴を塞ぎました。
ポリプロピレンメッシュ
〈これがメッシュ。ペラペラの硬いガーゼみたいな感じです。でもこれ1枚で ○万円します!〉

ポリプロピレンメッシュポリプロピレンメッシュ
〈縫合糸で縫って、円錐状に形成します〉

会陰ヘルニア手術
〈インプラントとして患部に埋め込みます〉

会陰ヘルニア整復後
〈手術後〉

無事に飛び出した腸と膀胱そして肛門が綺麗に収まってくれました。

今後も他院では実施しないような難易度の高い手術にもチャレンジしていきます。ただ無謀な挑戦はしません。己の領分をわきまえつつ、日々研鑽を重ね、強い信念を持ち、そして動物と飼い主さんのためになることを目指していきます。